• 小さく生まれた赤ちゃんとママのお話1 埼玉県 K様 / 出生週数 26週・出生体重897g

  • 2021.11.11

  • お話を聞かせて下さった方:埼玉県 K様


    出産時のことや、産後直後のあなたのお気持ちを聞かせてください。

    出産時は、まだ出さないで、産みたくない!そんな気持ちでいっぱいでした。出産後は、赤ちゃん産まれちゃった、、、どうしよう。これからどうなるんだろう。自分がいけない、辛い思いをさせちゃってごめんね、こんなはずでは。。。 そんな思いで出産後過ごしました。

    ご家族や周囲の人からのサポートで、嬉しかったこと・傷ついたことを教えて下さい。

    嬉しかったことは、NICUのスタッフが本当に親身になって寄り添ったくれたこと。また一緒にお友達が泣いてくれたこと。 傷ついた言葉は、「赤ちゃんは早く会いたかったんだね」という言葉。なぜか受け入れられず傷つきました。


    赤ちゃんの授乳・栄養法の変化や、面会がどんな風だったかなど、入院中のご様子について教えて下さい。

    栄養は、鼻から管を入れて一日数mlの母乳を何時間もかけて投与していました。少しずつ母乳を投与する量が増えていきました。 NICUにいる時は、本当に自分ができることが少なくて、保育器の前に座り、ただ目の前の赤ちゃんを眺めている感じでした。 カバーリングといい、手を保育器に入れて赤ちゃんを包み込むように触れてあげたり、母乳を染み込ませた綿棒で口を湿らせてあげたり。 どう触れ合えばいいのか分からない中でしたが、目を開けたり、あくびをしたり、眉毛を動かしたりと、日々少しずつ変わるちょっとした表情の変化が嬉しかったです。


    搾乳について、その時のお気持ちやエピソードを聞かせて下さい。

    手術が終わり、病室に戻ってきたのは18時過ぎ。その夜から3時間おきの搾乳が始まりました。 早産したママは、その赤ちゃんの週数にあった母乳の成分が出るんだよと言われ、必死に搾乳していました。お腹の中でちゃんと長く育てられなかった私がこの子にできることは、母乳を出して届けることでした。
    来る日も来る日も、寒い2月の夜中に、冷え切ったリビングで子供の写真を見ながら搾乳。搾乳機の音だけが響いていました。赤ちゃんに会いたくて寂しかったこと、産後の体が回復しない中、夜中に起きて搾乳をしていたこと、今でも鮮明に覚えています。

    冷凍母乳(カネソン母乳バッグ)に関するエピソードや、カネソンへのメッセージがあればお願いします。

    私の唯一の救いは、母乳がよく出ることだったんです。搾乳した母乳を大切に保存する容器は、いつもカネソンの母乳バッグでした。搾乳した母乳を母乳バッグに詰めるときにこぼしてしまったり、せっかく搾乳した母乳をひっくり返してしまい落ち込むこともありました。 カネソンの母乳バッグは搾乳した母乳を入れる際、とても入れやすく使いやすかったです。

    出産して2ヶ月ほど経った頃に、毎日搾乳を続けることができたことで、今度は、母乳が余るという事態になりました。
    赤ちゃんが1日に摂取する母乳の量は体重によって決まっているため、冷凍母乳が病院にも自宅の冷凍庫にも溢れかえり、保管しきれなくて捨てる日々が始まりました。
    いつか赤ちゃんに直接授乳できる日を想像しながら、母乳を絶やさぬよう搾乳を続けるけど、どんなに頑張って搾乳しても捨てないといけない。それがすごく辛かったです。


    そんな私を救ってくれたのは、母乳バンクでした。

    昭和大学の水野克己先生に直接連絡をとり、スムーズに手続きができ、母乳バンクに母乳を寄付することができたことは、私にとってすごく大きかったです。お腹で長く育てられなかったと自分の体にすっかり自信をなくしていましたが、そんな私でも、同じように頑張っている赤ちゃんや家族のためになれる! それがあの時の自分にとってどれだけ救われたことか。 母乳バングから送られてきた母乳バッグもカネソンさんのものでした。パッケージには、水野先生が載っていました。

    母乳バッグは、私の思いと母乳を必要とする赤ちゃんへの懸け橋にもなってくれました。 娘が退院するまでの数ヶ月、母乳バンクへの寄付を続け、送った母乳は100袋を超えました。

    4ヶ月半のNICU通いは、カネソンの母乳バッグと常に一緒でした。娘が自宅に退院するまで4ヶ月半、搾乳を頑張り続けられたのは、こうして小さく産まれた赤ちゃんや家族への愛がこもった製品を開発して頂けたお陰だと思っています。

    あれから2年後、こうしてカネソンさんにお礼を伝える機会をもらい、とても感謝しています。たくさん母乳バッグにお世話になりました。ありがとうございました。

    当時の自分に伝えてあげたいこと、当時に自分に声をかけてあげるとしたらどんなことですか。

    大丈夫、ゆっくりだけど少しずつ大きくなるよ。今は未来が見えなくて不安ばかりだと思うけど、2年後、元気に走り回って一丁前にねぇねと喧嘩してるよ。

    いまのお子様へ、ひとことどうぞ!

    ここまで大きくなってくれてありがとう。毎日笑顔で元気に過ごしてくれてありがとう。 あなたの成長は、みんなの希望だよ。

    2歳9ヶ月(修正2歳5ヶ月)

    現在、赤ちゃんがNICUにいるお母さん・ご家族へのメッセージをお願いします。

    自分の想像していた妊娠経過や出産ではなかったかもしれません。今すごく孤独を感じていたり、罪悪感を持っているかもしれません。しかし、あなたは1人じゃありません。同じように産後長期間NICUに通った家族はたくさんいます。そして、同じように小さく産まれた赤ちゃんやその家族が繋がれる場所が増えています。みんなでお子さんの成長を見守っていけたらなと思います。 同じ週数、体重で産まれても経過はそれぞれ違います。他の子と比べてしまう気持ちは当然のことですが、数日前の、数ヶ月前のお子さんと比べて、その子の成長を感じはことができると、少し気持ちが楽になるかもしれません。

    お話を聞かせて下さり、ありがとうございました。


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