• 小さく生まれた赤ちゃんとママのお話8 東京都 H様/出生週数24週 ・出生体重 908g

  • 2022.02.09

  • お話を聞かせてくださった方:東京都 H様



    (生後10日目)

    出産時のことや、産後直後のあなたのお気持ちを聞かせてください。

    20週で「いつ産まれてもおかしくない」と言われて絶対安静の入院が始まりました。最初は、今元気にお腹を蹴るこの子を失うかもしれないという恐怖心と、産まれた後のことを考えて不安な気持ちで毎日を過ごしていました。22週ぐらいにたまたま漫画の「コウノドリ」を読んで、鴻鳥先生の「きっとキミには人の何倍...何十倍も辛いことがあるかもしれない」「...でも人一倍幸せになることはできる」「負けるなよ」という言葉で、この子の未来を信じて頑張ろうと思え、そこからは3食残さず食べて笑って過ごすことが仕事!と決め、また毎日お腹に「ここは居心地がいいよ~長いこといなよ~」と話しかけて過ごしました。 産後直後は子供の状態が安定しないこともあり、流石に申し訳無さとこの世の果てにいる気持ちでした。子供の処置中はずっと泣きながら祈りながら待合室にいましたが、無力感と心の底から先生と看護師さんからの「大丈夫」という言葉が欲しくて堪らなかったことを覚えています。


    ご家族や周囲の人からのサポートで、嬉しかったこと・傷ついたことを教えて下さい。

    急に育児休業に入ることになったので会社に言わざるを得ず、「赤ちゃん、大丈夫ですよ!」と何人か言ってくれる方がいましたが、その時は気持ちがどん底だったこともあり、正直なところ「...根拠もなく勝手なことを言わないで...」としか思えなかったです...。ただ振り返るとそう言ってくれる存在自体はありがたいことだったと感謝しています。そして精神的に不安定な私のそばに何も言わずいてくれた主人と実母が本当に助けでした。


    赤ちゃんの授乳・栄養法の変化や、面会がどんな風だったかなど、入院中のご様子について教えて下さい。

    初乳は飲んだものの、胃からの出血があり最初は中々ミルクを飲む(経管栄養)のも難しかったですが、ミルクが開始されたこと、毎日数cc増えていったこと、母乳綿棒でバイタルが安定したこと、一つ一つが全て嬉しかったです。 「母の仕事は毎日の面会と搾乳!」と心に決め、一時期NICUの冷凍庫を占拠するほどあった冷凍母乳のパックが、子供がどんどん飲む量が増えて足りなくなった日は、母乳が出せていないという少しの悲しさと、ここまで成長したんだなという感慨深さがありました。



    (生後2週間、先生と看護師さん5人がかりで初めて抱っこさせてもらったとき)

    搾乳について、その時のお気持ちやエピソードを聞かせて下さい。

    産後の入院中、搾乳した母乳を持ってNICUに行くことだけが励みでした。ただ子供の状態が中々落ち着かず、NICUに行って看護師さんに「...今、処置中で面会出来なくて」と言われた時は、不安と申し訳無さで泣きそうになるのを堪えて、「じゃあまた来るので、これお願いします」と平気そうなフリをして(そんなフリいらないのに)搾乳した母乳の瓶を何とか看護師さんに渡して、すぐに部屋に戻ってワンワン泣いた後、「母が出来ることはこれだけ」と次の搾乳を始めた日もありました。



    (初めて抱っこしたときと、1歳のお誕生日のときの足を比較したお写真)

    冷凍母乳(カネソン母乳バッグ)に関するエピソードや、カネソンへのメッセージがあればお願いします。

    退院する足で、病院の売店で購入して自宅に戻りました。はじめてバッグを使う時は「うまく出来るかな」とドキドキでしたがすぐに慣れました。バッグに貼るシールに、何度も子供の名前を書くことで子供の名前に慣れましたし、離れていても子供を実感することが出来ました。また子供のために出来る数少ないことの一つとして、とても嬉しかったです。


    当時の自分に伝えてあげたいこと、当時に自分に声をかけてあげるとしたらどんなことですか。

    今はツライよね、シンドいよね...。 けど、一日一日、前に進んでいるから。 寄り添ってくれる人達がいて、一人じゃないから。 懐かしいと思える日がいつか来るから。


    いまのお子様へ、ひとことどうぞ!

    ギリギリを攻める男とNICUの先生や看護師さんたちに笑って言われるほどの生命力を見せてくれたキミ、 産まれて来てくれて本当にありがとう。 沢山沢山頑張ってくれてありがとう。 色んな人達が、キミの誕生をお祝いして、成長を喜んで、いつもそばにいてくれたこと忘れないでね。 離れていても、ずっと応援してくれているから、みんなキミのことが大好きだって覚えていてね。 これからも毎日、よろしくね。



    (たっちも慣れてきた2歳のお誕生日の日)

    現在、赤ちゃんがNICUにいるお母さん・ご家族へのメッセージをお願いします。

    お子さんのお誕生、本当におめでとうございます。 嬉しいこと、時に辛いこと、毎日色んなことがあると思います。 孤独を感じることもあるかもしれません。 でもそんな時、一人じゃないことを忘れないでください。 NICUの先生や看護師さんはじめお子さんに関わる全ての方々、そしてNICU卒業生やその親御さんみんなが、 喜びも楽しみも悲しみも不安も、寄り添って少しでも力になりたいと思っています。 お子さんとの幸せで楽しい日々、応援しています!



    お話を聞かせてくださりありがとうございました。


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