〇ママと赤ちゃんの絆
温かく抱かれたママの胸の鼓動、やさしい抱っこの皮膚の感触、美味しいおっぱいを感じる味覚、語りかける声。
赤ちゃんはおっぱいを飲んでいるときには五感を全部使っています。
新生児の体重のおよそ19.7%が皮膚の重さです。
おっぱいをあげることにより、赤ちゃんの感覚器官のたくさんの部分を刺激してあげることができるのです。
そして、おっぱいを飲んでもらうことによるママのおっぱいも楽になり、赤ちゃんも、おっぱいが「心の杖」のように、心がやすらぎます。
お互いが心地よいと思えるママと赤ちゃんの絆を「母子相互作用」といい、今後の赤ちゃんの育ちにとても大切です。
〇産前からのケア
赤ちゃんが生まれる前から、乳首をやわらかくするケアをしておくことにより、乳首や乳輪が柔らかくなり、赤ちゃんはおっぱいが飲みやすくなります。
かかりつけの医師や助産師と相談して、妊娠が安定してから妊娠36週までにはおっぱいのケアを始めるとよいでしょう。
乳首を軟らかくして、赤ちゃんが吸いやすい状態にするために、「オイル湿布」がおすすめです。
化粧用コットンに、「ピアバーユ」、「ランシノー」などの天然オイルをぬり、乳首にあてます。
その上からそっとブラジャーをつけます。
オイルがしみてくるのが気になる方は、コットンがかぶさるくらいの大きさのラップでカバーします。
お風呂に入るときははずし、入浴後にはまた新しい物と交換してください。
おなかの張り気味の方にもオイル湿布は刺激を与えないケア方法の一つです。
会陰部をやわらかくするための会陰マッサージに抵抗のある方 (出来ない方) にもこのオイル湿布はおすすめです。
陥没扁平乳頭の方は、妊娠中のケアのやり方を参考に、乳輪部を上から押すように繰り返します。
3)の指を合わせる動作はしなくても結構です。
妊娠中に体調不良・異常が無い方は、乳頭補正器「プチパット」を1日30分からはじめると赤ちゃんが吸いやすい乳首になってきます。
乳頭補正器「プチパット」を装着するときも「ピアバーユ」、「ランシノー」などの天然オイルを乳首・乳輪部まで塗っておくと良いでしょう。
(ご注意 : 必ず掛かりつけの専門医・助産師さんにご相談ください。)
● 妊娠期のスキンケアについての情報は、こちらから。
〇妊娠中のケアのやり方
【1】人差し指と親指で、アルファベットのCをつくります。
【2】乳首のやや外側の指をおいて、下方にまっすぐ軽く押します。
【3】押したまま、指先と指先をつけるような気持ちで、指先をあわせるようにします。
【4】指先を離して、これを繰り返します。赤ちゃんが吸うことをイメージして。「ちゅっ、ちゅっ」と声にだすのもよいでしょう。
〇産後からのケア
赤ちゃんが上手に乳首に吸い付けない原因は、乳輪部が硬いためのことが多いようです。
妊娠中のケアと同じケアを1日8回、1回3分を目標に行います。
はじめての授乳で乳首に痛みや傷ができた、乳輪部が硬くて赤ちゃんが吸い付けない間は、乳頭保護器の「ママニップル」や「ママニップルガード」をつけて、乳頭への刺激をします。
赤ちゃんが吸い付いてくれないようでしたら、母乳が出る方は少量の母乳を、 母乳が出にくい方はミルクを器具の中に入れて、においや味で、吸てつ刺激を導いてもよいでしょう。
母乳は足りないだけでなく、出過ぎることで悩む方もいらっしゃいます。 おっぱいが赤ちゃんが飲む量よりも多く作られて、飲み残しがあって張って痛い、しこりなどができることがあります。
飲み残した部分を軽く押しながら飲ませます。 授乳後に、乳首への刺激をあまりせずに、飲み残したおっぱいを搾乳することもよいです。 理想は、しぼらず、赤ちゃんが必要な量だけ出るおっぱいです。
〇母乳育児のメリットとデメリット
【 メリット 】
1. 免疫をあたえる
2. 愛着の形成
赤ちゃんはおっぱいを飲んでいるときに、とっても幸せそうなお顔をしています。そのかわいいお顔をみているとママも幸せな気持ちになります。
ぐずっているときでも、おっぱいがあると、赤ちゃんの心が落ち着きます。
3. 子宮がん、乳がんのリスクを減らす
4. あごの筋肉の発達
5. 感受性豊かな味覚の形成
母乳はママの摂る食事によって、毎日味が異なります。様々な味にふれることができます。
【 デメリット 】
1. 飲み過ぎてしまう
泣いたらあげるを繰り返すと過飲症候群(飲み過ぎて、寝付きがわるい、手でおっぱいをたたく、すぐに口を離す、足でママのお腹をけるなどは赤ちゃんからのサインです。
2. 哺乳瓶をうけつけない
ママ一人での外出は、授乳の間隔内2~3時間であれば、できます。 離れる時間が開くようでしたら、コップやスプーンで少しずつ飲ませます。